フラシ仕様のシャツ
Non fusible coating interlining for traditional Shirts
衿の芯
主に【衿】と【カフス】の内側に使用される布地を芯と呼びます。
芯は身生地と異なる布を使用することが多く、たくさんの種類があります。
他のアイテムに比べて、シャツは衿を綺麗に形作る適度な硬さが求められるため芯地はとても重要な要素になります。
出来上がりのシャツの雰囲気に合わせて、芯地の組み合わせを変えることになります。例えば、ボタンダウンカラーは衿先の釦の〝かけはずし“ も考慮しながら、柔らかく衿のロールがキレイにきまる芯地を組み合わせ、フォーマル度の高いワイドカラーやレギュラーカラーはハリコシのある芯地を使用することになります。カジュアルなデザインでは羽織でも着用することを想定して、薄く柔らかい芯地を使う場合も多くなっています。
フラシ芯とは
シャツの身生地と芯地が接着していない状態の芯地を言います。
シャツでいうところの【衿とカフス】は
- 表側の生地
- 芯地
- 裏側の身生地
3つの布のパーツで構成されており、そのいずれも糊でくっついておらず、3枚独立した状態を『フラシ』と呼びます。
この3枚の布は微妙に大きさと形状が異なります。出来上がりの衿の折り返しを想定して内側と外側の円周差を考慮して形を変えています。
形の異なる3枚の布を同時に縫い合わせることは熟練度が必要になってきます。
フラシ芯のメリットは
・着用時の立体感が表現できます。
・接着していないので生地本来の風合いが保たれます。
・柔らかく仕上がります。
・衿周りの汚れも付着しにくい傾向があります。
デメリットは
・縫製の難易度が高く手数と時間がかかります。
・衿に立体性をもたせる為、アイロンをかけるときに少しテクニックが必要になります。
衿(フラシ芯)の縫製方法
【衿羽の地縫い】
3つの大きさの異なるパーツを同時に縫い合わせる
【返し】
衿先の成形、縫い代が重なる衿先の形を整える
【衿羽成形アイロン】
アイロンで丁寧に円周差・控え分を考えて成形する
【飾りステッチ】
運芯(ミシン目)を細かく一定の間隔で衿周りにステッチをかける
(完成後のシャツの顔とも言われる重要な工程)
【ソリ入れ】
裏側の生地に張りを持たせる為、表を下にしてソリを入れながら仮止め
(完成後の衿を折り返したときに違いのわかる大事な工程)
【段付け】
衿羽と台衿を縫い合わせる工程
【中線】
台衿のステッチ入れ
衿の完成
動画 フラシ仕様のシャツ⇒こちらからご覧ください
アイロンは平面であればあるほど容易になりますが、フラシ芯の場合、立体性がありますのでちょっとしたアイロンのテクニックが必要になります。
HITOYOSHIの考えるアイロンの方法を動画にしましたので、ご参考にして頂けると幸いです。
動画 ヒトヨシの考えるアイロンの方法-衿編⇒こちらからご覧ください
動画 ヒトヨシの考えるアイロンの方法-肩編⇒こちらからご覧ください
動画 ヒトヨシの考えるアイロンの方法-袖編⇒こちらからご覧ください
動画 ヒトヨシの考えるアイロンの方法-身頃編⇒こちらからご覧ください
HITOYOSHI(ヒトヨシ)のドレスシャツはフラシ芯を採用することが多く、型紙・成型にバランスよく立体感を持たせるようなシャツ作りを心掛けています。
フラシ芯を使用したアイテムを掲載させて頂きます。柔らかく立体感のあるシャツをお楽しみください。ケアの方法と合わせてお試し頂けると幸いです。